とん汁とけんちん汁の違いと基本的な作り方



けんちん汁の基礎知識

 

 

さて次はけんちん汁です。けんちん汁は「建長汁」、「巻繊汁」とも書く、汁物料理の一種です。

 

具材は大根、ゴボウ、にんじん、里芋、蒟蒻、豆腐などで、胡麻油で炒め、出汁を足して煮込み、醤油で最後に味を調えて仕上げるすまし汁です。但し、必ずすまし汁というわけではなく、地域や家庭によっては味噌仕立てもあります。

 

一番わかりやすいとん汁との違いは当然「肉がはいっているかどうか」ということですが、けんちん汁は元来精進料理ということなので、肉や魚は加えませんし、出汁も動物性の鰹節や煮干は使わずに、昆布や椎茸から取ったものとなっていました。ここが概念としてもっとも違う点となります。

 

さて、「けんちん汁」の語源についてですが、あくまでも一説として、神奈川県鎌倉市の建長寺の修行僧がこれを作っていたということで、「建長汁」という言葉がなまって「けんちん汁」になったといわれ、一応この説が有力なようです。

 

普茶料理の巻繊(ケンチャン)がけんちん汁になったという説もあります。巻繊は、野菜を刻んで豆腐を混ぜて炒め、油揚げや湯葉で巻いて油で揚げた料理です。これがアレンジされてけんちん汁になったという内容です。

 

山口県の郷土料理で「けんちょう」というのがあるのですが、これは大根と豆腐を使った煮物です。汁仕立ては「けんちょう汁」ということで、ちょっとけんちん汁の由来っぽい感じもしますよね。いずれにしても昔からある伝統的な料理からきているということです。